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健友館
2002年11月発行
141P
ISBN: 4-7737-0723-2
価格: 1,100円(税別) |
<プロローグ>
とりばしら
鳥柱
秋の一日が終わり黄昏が始まる頃、鴨川の鳥が一斉に騒ぎ始めた。川面を激しく揺らし、数十羽もの鳥たちが三条大橋を覆うように騒然と乱舞し、人々を驚かす。
やがてそれぞれ暗黙の約束があったかのように、白い鳥たちは川幅よりも大きな円を描きはじめ、吹き上げられたかのように、真上にどんどん舞いがる。一瞬の上昇気流を見事に捉え、円錐の群となって比叡山の高さを遥かに越す。
その円舞が上昇の極に達っすると、羽を静止し、東に向かつて滑空を開始した。たゆたうようなその流れは、東山連峰の稜線を優雅に飛び越え、巣に向かう。本能が教える省エネルギー山越えの知恵。
たどり着くそこは何ものにも襲われることのない安住の湖、琵琶湖。眠りつくために自然の母の胸に戻るのだ。
京都の人々は、この時の上昇飛翔を鳥柱と呼ぶ。 |